量子物理工学研究室の本條 悟史さん(博士前期課程2年)、齋藤 祐磨さん(博士前期課程1年)、星名 勇作さん(博士前期課程1年)、山田 彗史さん(博士前期課程1年)が応用物理学会 量子エネルギー変換研究会 第4回研究会 兼 第37回次世代先端光科学研究会において講演奨励賞および若手奨励賞を受賞
受賞概要
2025年11月27–28日に浜松市で開催された応用物理学会 量子エネルギー変換研究会 第4回研究会 兼 第37回次世代先端光科学研究会において、量子物理工学研究室の齋藤 祐磨さん(博士前期課程1年)が応用物理学会 量子エネルギー変換研究会 講演奨励賞を受賞しました。同賞は45件の発表から若手発表者による優秀な発表3件に対して表彰されました。
また本條 悟史さん(博士前期課程2年)、星名 勇作さん(博士前期課程1年)、山田 彗史さん(博士前期課程1年)が次世代先端光科学研究会 若手奨励賞を受賞しました。同賞は45件の発表の中から5件の優秀な発表に対して表彰されました。

受賞対象となった研究タイトル・研究者・研究の内容・受賞者コメント
講演奨励賞:齋藤 祐磨
研究題目・論文タイトル
Tm添加Y₂O₃透明セラミックスシンチレータのTm濃度依存性
研究者・著者
齋藤 祐磨 (M1)、尾竹 祥太 (D1)、加藤 匠 (助教)、中内 大介 (特任准教授)、河口 範明 (准教授)、柳田 健之 (教授)
受賞対象となった研究の内容
シンチレータは放射線照射により即座に紫外・可視光を呈する蛍光体材料の一種であり、放射線検出器として医療やセキュリティ分野で応用されています。本研究では放電プラズマ焼結法により様々なTm濃度のTm:Y₂O₃透明セラミックを作製しました。10% Tm添加したサンプルが市販のシンチレータに匹敵する低残光であることを明らかにしました。
受賞者コメント
この度は栄誉ある賞を頂き、大変光栄に思います。日頃より大変熱心に指導していただいております柳田先生をはじめとする先生方ならびに先輩方、研究室同期の皆様にこの場を借りて感謝申し上げます。この賞を励みとして、今後より研究に尽力していきます。
若手奨励賞:本條 悟史
研究題目・論文タイトル
(Zn, Be)Al₂O₄透光性コンポジットセラミックスのドシメータ特性に対するZn/Be比の影響
研究者・著者
本條 悟史 (M2)、市場 賢政 (D3)、白鳥 大毅 (東京理科大)、加藤 匠 (助教)、中内 大介 (特任准教授)、河口 範明 (准教授)、柳田 健之 (教授)
受賞対象となった研究の内容
蓄積型蛍光体は放射線照射によりエネルギーを一時的に蓄積し、光や熱などの外部刺激を加えることで発光を呈することから、個人被ばく線量計やイメージングプレートなどが応用例として挙げられます。本研究では、(Zn, Be)Al₂O₄透光性コンポジットセラミックスを作製し、そのドシメータ特性におけるZn/Be比の影響について評価を行いました。その結果、(Zn0.5, Be0.75)Al₂O₄サンプルの熱蛍光線量応答特性において最も発光強度が高く、市販品相当の感度を有することを明らかにしました。
受賞者コメント
このたび、次世代先端光研究会若手奨励賞を受賞することができ、大変光栄に思います。本受賞に際し、平素よりご指導と温かいご支援を賜っている先生方および先輩方に心より御礼申し上げます。本経験を励みに、今後も一層研究活動に真摯に取り組む所存です。
若手奨励賞:星名 勇作
研究題目・論文タイトル
Ag添加KBr透明セラミックスのRPL特性評価
研究者・著者
星名 勇作 (M1)、江澤 喜朗 (D1)、加藤 匠 (助教)、木村 大海 (産総研)、中内 大介 (特任准教授)、河口 範明 (准教授)、柳田 健之 (教授)
受賞対象となった研究の内容
蓄積型蛍光体は照射された放射線からのエネルギーを一時的蓄積でき、中でもラジオフォトルミネッセンス(RPL) 材料は、放射線照射によって新たな発光中心が生成され、その発光強度が照射線量に比例して増加することから、個人被ばく線量計に利用されています。本研究では、新規RPL材料の創製を目的として、Ag添加KBr透明セラミックスを放電プラズマ焼結法により作製しました。X線照射前後の発光特性を調査した結果、照射に伴う新たなRPL中心生成により、発光スペクトルが変化することを確認いたしました。
受賞者コメント
この度はこのような栄えある賞をいただき大変光栄に存じます。日頃より多大なご助力をいただいております柳田教授をはじめとする共著者の皆様に、この場をお借りして心より感謝申し上げます。
若手奨励賞:山田 彗史
研究題目・論文タイトル
Er添加BaS-Ga₂S₃-GeS₂ガラスの放射線誘起近赤外蛍光特性
研究者・著者
山田 彗史 (M1)、西川 晃弘 (D2)、宮島 渓太 (M2)、中内 大介 (特任准教授)、加藤 匠 (助教)、河口 範明 (准教授)、柳田 健之 (教授)
受賞対象となった研究の内容
シンチレータは放射線のエネルギーを即発的に多数の光子に変換する材料であり、なかでも近赤外発光シンチレータは原子炉のモニタリングへの応用が検討されています。本研究では、フォノンエネルギーが低く無輻射遷移抑制に効果的な硫化物ガラスBaS-GeS₂-Ga₂S₃に発光中心としてEr³⁺イオンを添加し、シンチレーション特性の調査を行いました。その結果、Er添加濃度3%試料で最良の線量率の検出下限値6.2 mGy/hを達成しました。
受賞者コメント
このような栄誉ある賞を頂き、大変光栄に存じます。日頃よりご指導いただいた先生方や先輩方に、心より御礼申し上げます。今後も一層精進してまいります。